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近年、ますます重要視されている「データ分析」。自社が大きく成長するため、または競争力を維持するためには社内データの分析が不可欠となります。でも分析専用ツールを使うとコストが掛かりそうだな…と二の足を踏んでしまう方もいるかもしれません。まずは身近なExcelを使ってみるというのはいかがでしょうか?普段何気なく使っているExcelには実は簡単にデータ分析ができる機能が沢山搭載されています。この記事では『Excelのデータ分析機能の活用』についてご紹介させていただきます。
Excelには、データ分析をサポートする様々な機能があります。こちらでは主なものをご紹介します。
そもそも「データ分析」とは、大量のデータを集めて整理し、解析して有益な情報や意味を引き出すことを指します。これらを通じて、データの中からパターンやトレンドを見つけ出し、意思決定や戦略を立てることに役立てています。普段は特に意識しないで使っているものもあるかもしれませんね。
①分析ツール
Excelには「分析ツール」という機能が搭載されています。これは関数やVBAマクロなどを使わずにデータ分析ができる便利なツールです。主にできることはこちらになります。
・分散分析
・相関分析
・基本統計量
・F検定
・ヒストグラム
・回帰分析
・t検定 等
②ピボットテーブルとピボットグラフ、スライサー
おなじみのピボットテーブルも分析には非常に有効です。データを項目別に自動集計する機能になります。
ドラッグ&ドロップで操作を行うので簡単に集計をすることができます。またピボットグラフを使えば、ピボットテーブルのデータを視覚的に表現できます。さらにスライサーを使うと、ピボットテーブルやテーブルのデータを簡単にフィルタリングできますので、一部のデータに注目したい場合も簡単にその部分だけ抜き出すことができますよ。
③グラフやチャート
Excelには多様なグラフやチャートがあります。おなじみの棒グラフ、折れ線グラフ、円グラフや、ヒストグラムやレーダーチャートなどを使って、データを視覚的に表現したり、傾向やパターンを簡単に把握できます。
④関数
データ分析に役立つ関数も多く組み込まれています。例えば、AVERAGE、MAX、MINなどのおなじみの関数から、下記の関数などもデータ分析には欠かせない関数となります。ぜひ活用してみてくださいね。
・SUMIF関数/SUMIFS関数
・COUNTIF関数/COUNTIFS関数
・MEDIAN関数(中央値)
・MODE.SNGL関数(最頻値)
・STDEV.P関数/ STDEV.S関数(標準偏差) 等
⑤条件付き書式
特定の条件に基づいてセルの書式を変更することができる条件付き書式。これにより、データの傾向や異常値を一目で確認できますので、視覚に訴えたいデータを作成する場合に非常に便利です。
などなど、Excelにはデータ分析機能が沢山搭載されています。これらを使えば多角度からデータを分析できそうですね。
先ほどご紹介させていただいた通り、Excelにはデータ分析が簡単にできる「分析ツール」という機能が搭載されています。こちらはExcelの「アドイン機能★」のひとつとなるのですが、元々インストールされていない場合がありますので、その場合は初期設定が必要となります。下記の手順でやってみましょう。
★Excelアドインとは…エクセルの機能を拡張できるプログラムのことを言います。
分析ツールのアドインは、以下の手順でインストールします。
1.Excelの「ファイル」タブをクリックし、「オプション」をクリック
2.「Excelのオプション」ダイアログボックスから「アドイン」をクリック
3.管理(A)を「Excelアドイン」にし、「設定」をクリック
4.「アドイン」ダイアログボックスの「分析ツール」に✓を入れてOKをクリック
5.Excelの画面に戻るので「データ」タブをクリックし『データ分析』が表示されていることを確認する
これでExcelの分析ツールが使えるようになりました。
さて、Excelの分析ツールは最初にご紹介した通り、分散分析、相関分析、基本統計量、F検定、回帰分析などが簡単にできるようになっています。
その中で今回は「基本統計量」の出し方をご紹介します。
★基本統計量とは…
平均、分散、標準偏差、最大値、最小値などのデータの分布の特徴を要約するために用いられる統計的指標のことをいいます。基本統計量を確認することでデータの基本的な性質や全体的な傾向、ばらつきを知ることができ、データの要約や異常値の検出などデータの特性をより深く把握することができます。
Excelの基本統計量機能を使うと一度に簡単に計算することができます。
基本統計量は以下の手順で出すことができます。
1.Excelで分析したいデータを開いておく
2.「データ」タブの「分析」グループの「データ分析」をクリック
3.「基本統計量」を選択してOKボタンをクリック
4.「基本統計量」ダイアログボックスが出ますので、「入力範囲」(今回の場合はB3:B14)、「出力範囲」(今回の場合はD2)、「統計情報」「平均の信頼度の出力」「K番目に大きな値(A)」「K番目に小さな値(M)」にチェックを入れる
5.次の図のように表示されます。
基本統計量はデータの傾向やばらつきを把握できるため、分析の初期段階でデータの全体像をみたい時などに便利です。ぜひ活用してみてくださいね。
さて、今までお伝えしてきたようにExcelでデータ分析を行うことには多くのメリットがあります。特に中小規模のデータ分析に適しており、迅速かつ効率的にデータを処理するのに役立ちます。
<メリット>
1.使いやすさ…簡単な操作でデータを分析できるというのが最大のメリットです。普段からExcelをお使いの方も多いので専門的な技術者を育成する必要もありません。
2.豊富な機能…冒頭でもご紹介させていただいたように関数や分析ツールなど豊富な機能を取り揃えてありますので、多角度からの分析が可能です。
3.コスト効率…専用ツールを入れる必要がなく、いつもお使いのExcelで分析ができますのでコストは掛かりません。
4.互換性…他のソフトウェアやデータベースへのデータのインポートやエクスポートが簡単です。
5.データの視覚化…グラフやピボットテーブルなどを使ってデータを視覚的に表現することで、洞察を得やすくなります。
しかし、下記のようなデメリットもあります。
<デメリット>
1.データ容量の制限…Excelは行数や列数に制限があります。大きなデータを扱うのはパフォーマンス的に難しい場合があります。
2.ヒューマンエラー…Excelは扱いやすい分、手動でのデータ入力や計算式の入力等を行うため、ヒューマンエラーが発生しやすいです。
3.セキュリティ… Excelファイルは簡単にコピーや共有ができてしまうため、機密データの取り扱いには注意が必要です。また簡単にデータの改変ができてしまうので、セキュリティ対策をしっかり行う必要があります。
データやシートは改変できないようにあらかじめセルやシートを保護しておく方が良いかもしれませんね。
4.高度な分析機能の不足…機械学習や高度な統計分析など、専門的な分析には限界があります。
Excelでのデータ分析は扱いやすくメリットも多いですが、デメリットを踏まえてどういう視点で分析したいかということを考える必要がありそうですね。
Excelのデータ分析機能はいかがでしたでしょうか?
近年、ICTの進化に伴い企業側は大量のデータを収集・活用できるようになりました。社内に蓄積されているビッグデータの活用はビジネスチャンスの見直しなどでどこの企業でも大変重要視されています。まずはExcelでデータ分析を始めてみませんか?東京パソコンアカデミーの教室でお待ちしております。
この記事の著者:矢澤 美和
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