面接時で聞かれる質問はさまざまです。
さまざまな質問の中でも特に「前職や前々職の退職理由を聞かれたらどう答えたらいいでしょう?」という
相談が求職中の皆さんから寄せられることが多いです。退職理由があまり良いものではなかったため
こういった質問には答えにくいと感じる方も少なからずいるかと思います。
例えば「自分の回答内容によっては、退職理由が他責や自己中心的という印象を面接官に与えてしまい
選考に響いてしまったらどうしよう?」という気持ちが多少なりともあるのではないでしょうか。
・入社後、同じような理由ですぐに辞めてしまうのではないか
・ストレス耐性、我慢強さ、問題解決能力をどれぐらい持っているか
・自社の社風や風土との相性は良いか、入社後に馴染めるか
・入社後、遣り甲斐をもって前向きに働いてもらえそうか
などの理由が挙げられます。
・嘘はつかず真実を伝える
・回答内容の配分を「退職理由20%」+「転職で実現したいこと80%」で構成する
・退職理由を前向きに言い換える、または不可抗力の理由を見つけておく(例:雇用契約期間満了など)
ケース1:能力やスキルを十分に発揮できなかった場合
「発揮させてもらえなかった」というマイナスな理由にするのではなく、自身のスキルを洗い出した上でそれを踏まえて「今後は自分の能力やスキルを活かせる仕事・役割を担って貢献したい」という前向きな姿勢であることを伝えましょう。
(回答例1)
前職では書類作成や内部での仕事の調整に追われておりました。その一方でもっと顧客にじっくり向き合い顧客の気持ちに寄り添った対応をしていきたいという思いが強くなり退職致しました。
(回答例2)
前職では業務が一人で完結するように構成されておりチームで動くことがほとんどなかったのですが、入社○年目に後輩や同僚とチームを作って遂行する仕事が入りリーダーを任せてもらえました。ここで自分は周囲と相談調整し協力しながら仕事を進めることが得意だと知りました。その後勤務先に確認したところ、チームでの業務が今後ほぼ無いことがわかり力を発揮できる場がないと思い退職をしました。
(回答例3)
私は受付事務として来店するお客様に真摯に向き合い、お客様の困り事や抱えている課題の解決をお手伝いすることを大切にしており、問題点の発見や問題解決方法を探ることが得意だと考えております。
前職ではお客様のサポートよりも契約成立数や売上の確保だけが求められていましたが、御社であればお客様優先で適切なサービスを提供し、お客様の課題解決ができると考えました。
ケース2:労働環境や人間関係が良くなかった場合
人間関係の悪さをそのまま伝えることは得策ではありません。面接官に「入社後にまた人間関係に不満を抱くのではないか?」と思われてしまう可能性が高いからです。前職の環境に対する直接的な悪口や攻撃にならないように「職場の方針や考え方が合わなかった」という言い回しにし、今後は方針や考え方に共感できる職場への就業を希望する姿勢であることを伝えましょう。
(回答例1)
前職では個人の業績や月の売上目標が重視されていて仕事自体も個人で動くものが主でしたが、そんな中でもできる限り数字に向き合って参りました。そしてこれからはもっと周りとコミュニケーションを取り連携し、互いに助け合ったり高め合ったりしながら働ける環境に身を置きたいと考え御社を志望しました。
(回答例2)
前職では新しい事業やプロジェクトに挑戦できると聞き入社したのですが、配属先の部署は新しい取り組みには消極的な部署だったようで、日々ルーティンワークでチーム内に活気がなかったです。今後はチャレンジが活発にできる経営方針の職場で働きたいと考え御社を志望しました。
(回答例3)
前職ではチームでの仕事の進め方や方針に違和感を感じておりました。それぞれの役割分担ははっきりしていましたが逆に自分の担当業務ではないことには手を貸さない風土がありました。これからはそうではなくチーム内で協力や連携することで出せる力を大切にしたいと考えています。
ケース3:勤務先の将来が不安だった場合
「勤務先の将来が不安」という理由をそのまま伝えるとはおこがましいと思われ、「ではそのような中で、当時あなたは会社の成長のためにどのような成果を出したのか」と問われてしまう可能性もあります。まずは不安だった要素をできるだけ具体的にし、次にそれがマイナスワードにならないような言葉を用意し、最後に今後自分はどのように貢献したいのかを明確に伝えましょう。
(回答例1)
前職では勤め始めて○年目に、業績低迷が原因で経営方針が変更され自分が所属する部署が廃止され別部署に吸収されることになりました。個人的には今後も○○業界の成長を確信しており市場への進出や拡大に挑戦すべきだと考えています。市場拡大に積極的な御社でなら自分のスキルや能力を十分に発揮でき、微力ながらも貢献できるのではと考え応募致しました
(回答例2)
これまではトップダウンの組織の元で上から下りてくる指示に従って仕事をする環境で働いてきましたが、今後はチーム内でそれぞれの意見や改善点を出し合い作業効率を良くして行ける環境で働いてみたいと考えました。年齢や社歴に関係なく挑戦し続けられる環境に移ることで自己研鑽し続けたいと考え御社を志望致しました。
(回答例3)
前職では業績悪化で事業縮小となり担当していたプロジェクトも中止となり、別の部署に異動となりました。自分としてはお客様のために働けるこの業界が好きでしたので、引き続き同じ業界に携わりたく退職致しました。御社ではこれまで培ったスキルを活かして業績に貢献していきたいと考えております。
ケース4:給与額が折り合わなかった(年収が低かった)場合
「年収を上げたい」という理由を直接的に伝えると、面接官に「それだけの給与を支払うだけのスキルがあるのだろうか?」「自社より高い給与の仕事が見つかったら辞めてしまうのではないか」と思われる可能性があります。ここでもやはり前向きな言葉に置き換えて、まずは今回の募集条件の給与額で問題ないこと、そして入社後はスキルを活かして貢献し、成果が報酬に反映されることを望んでいるといった姿勢を伝えていきましょう。
(回答例1)
前職の○○業界で遣り甲斐を持って会社とお客様のために○年間働いて参りましたが、昇給制度の見直しがあり当面の昇給が見込めなくなってしまったことが退職理由の一つです。しかしながら○○業界が好きですので今後も同じ業界で働きたいと考えており、また御社では募集要項内の給与欄に昇給の記載がありましたので今回応募致しました。
(回答例2)
前職では業績低迷が原因で部署縮小や事業所の閉鎖、他に賞与の廃止などがあり、仕事における遣り甲斐という面でも不安が募り、また金銭的な面でも生活ができる最低ラインを越えてしまう月がしばしば出てきたため退職を致しました。しかしながら今後も同じ○○業界で働きたいと考えておりますため、今回御社の求人へ応募致しました。
(回答例3)
前職では新規顧客を獲得しても評価や報酬に結びつかない給与形態でしたが、そんな中でもこの業界の仕事は好きでしたのでできる限り数字に向き合って参りました。御社では給与形態の中に業績に合わせての賞与制度があると明記がありましたことと○○業界での事業拡大を常にされているとのことですので、これまでのスキルを活かし事業拡大に貢献したいと考えております
ケース5:労働条件(労働時間、休日などの勤務条件)が良くなかった場合
「残業が多い」「有給休暇が取りにくい」などマイナスな印象を抱く言葉を使うと、面接官に「入社後も労働環境に関していろいろ苦情が出るのではないか?」と思われかねません。まずは事前に応募候補先の残業の有無や休日数など集められる情報を集め良く吟味してから応募を決めましょう。そして面接の際には「労働環境が変わるとどう貢献できるのか?」という部分に焦点を当てプラスイメージの言葉に置き換えて回答しましょう。
※サービス残業の常態化や法定休日が取れなかった、条件を満たしているにも関わらず各種保険に加入できなかったなどの違法行為がある就業先については、労働者に非はありませんので採用面接時にはその旨簡潔に伝えるといいでしょう。またしかるべき機関(労基署など)にも報告をしておきましょう。
(回答例1)
前職では突発的な残業が多く「残業が当たり前」という環境でした。中には残業代が支払われずサービス残業になるケースもしばしばありました。○年間働きましたがその間残業についての改善が全くありませんでしたので退職致しました。決められた時間内で業務効率化を図りながら遣り甲斐を持って働きたいと考えております。
(回答例2)
残業自体は決して嫌ではないのですが入社前に事前の残業時間の説明が無かったのと、また月に数回は終電で帰宅するほどの状態でしたので退職しました。今後はもっと生産性を上げて効率よく働きたいと考えております。
(回答例3)
前職では繁忙期には残業や休日出勤が多くあり、閑散期には勤務時間を減らすよう指示があるなど、勤務時間に大きなばらつきがあってプライベートの予定にも影響する状況でした。オンオフのメリハリをもって業務に臨める環境で働きたいと思い退職致しました。」
ケース6:体調不良の場合
体調不良が理由で退職した場合は、退職理由を伝える際に必ず「今は回復(または寛解)していて業務に支障はない」ということを伝えましょう。
また当時の病気やケガにより現在も職場での配慮や理解が必要な場合(無理なく働ける条件の求人へ応募することが大前提です)は、面接時にその旨を伝え相談をしましょう。
なお、業務遂行とは関連がない病歴や健康状態について質問をすることは、就職差別にあたるため禁止されています。とはいえ採用する側としてはやはり気にはなるかとは思います。伝えても差し支えがないと思う範囲で状況を説明してみてください。
(回答例1)
当時、任せてもらえた仕事に関しては責任感を持って最後までやり遂げたいという思いが強すぎて、自分の健康を顧みずに仕事を優先した結果、体調を崩しました。その後治療するもなかなか回復せず、勤務先とも相談の上でしばらく治療に専念することになり退職いたしました。現在、体調は回復しており業務に支障はございません。
(回答例2)
前職で勤務中に○○を発症し、急遽入院することになりました。当時の勤務先とも相談し一旦退職して治療に専念することになりました。現在は寛解ということで、継続的な服薬と経過観察のための定期健診がありますが、薬の受け取りも定期健診も休日に(もしくは退勤後の時間に)行けますので仕事に支障はありません。
ケース7:家族の看病や介護の場合
「体調不良」と同様に、家族の看病や介護などの家庭の事情が理由である場合も、「現在は仕事をする上で問題はないこと」を必ず伝えましょう。なおこのケースに関する質問も就職差別にあたる可能性があるため、詳しく質問されることはないかと思います。とはいえ、採用側としてもサポートの有無(環境調整、時短勤務、在宅勤務など)を尋ねたいと考えている可能性もありますので、伝えても差し支えがないと思う範囲で状況を説明してみてください。
(回答例1)
実家の父が認知症で持病もあり要介護状態となったため、一旦は私が主に介護することになり退職しました。現在は実家に兄弟が通いながら面倒を見てくれていて、訪問介護や訪問リハビリを自宅で受けながら過ごしておりますため、私自身の仕事には影響はありません。
(回答例2)
親が急病で倒れ治療が長丁場になると分かったので、いったん看病のために退職しました。治療の甲斐あって今はかなり回復し、昼間は自宅で過ごしたり自分でデイサービスに通うなどできておりますため、私自身の仕事には影響がありません。
ケース8:求職者側に責任はない(不可抗力)場合
(回答例1)
雇用契約期間の満了です(派遣社員や契約社員、有期契約のパート職など)
(回答例2)
会社の事業規模縮小により人員削減があり早期退職に手をあげました
(回答例3)
勤務先の移転により通える距離ではなくなったので退職いたしました
(回答例4)
会社の倒産(解散)のため会社都合での退職となりました
いかがでしたでしょうか?
冒頭でご紹介した回答のポイント3点「嘘はつかず真実を伝える」「回答内容の配分を退職理由20%+転職で実現したいこと80%で構成する」「前向きに言い換える、または不可抗力の理由を見つけておく」をヒントにして前向きな回答を準備することができそうでしょうか?
話すことが苦手な方や上がり症な方は事前にセリフを用意して、要点を大まかに覚えてから面接に臨むと良いでしょう。
今回ご紹介したポイントと回答例を踏まえ、皆さんがより自信を持って落ち着いて面接に臨めることを願っております。
(繰り返しになりますが、以前の就業先での雇用主側の違法行為(残業代不払いや各種保険未加入など)については皆さんの責任に帰すことではありませんので、気に病まず堂々と簡潔にその旨を回答してください。また悪質なケースについては同じことが繰り返されないようにしかるべき機関(労働基準監督署や労働局など)に報告し自分と他の労働者を守りましょう。)
最後までお読みくださいまして、ありがとうございました。
この記事の著者:吉田友子
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