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『メタバース』という言葉を最近よく耳にしませんか?
「メタバース」とは、一言でいうと「仮想空間」。インターネット上に構成される3次元の仮想空間に、アバターと呼ばれる自分の分身を介してその世界に入ります。
「2022年はメタバース元年」と言われるほど、今、メタバースをめぐる環境が急速に進化しています。 その背景には5G等の技術の発達・普及があり、今後の大きな成長が見込まれています。
この記事では今話題の「メタバース」についてご紹介していきます。
メタバース(metaverse)とは、英語の「超(meta)」と「宇宙(universe)」を組み合わせた造語になります。
由来は1990年代に発表されたメタバースという言葉は、ニール・スティーヴンスンのSF小説『スノウ・クラッシュ』の舞台、人間がアバターを介してネット空間でやり取りをする世界からきているとされています。
メタバースとは、一言でいうと「仮想空間」となりますが、そこでコミュニケーションが行えるサービス・プロダクト全般を指す意味もあります。
インターネット上に構成される3次元の仮想空間に、アバターと呼ばれる自分の分身を介してその世界に入ります。VRのヘッドセット等を利用して(利用しない場合もあります)、バーチャルオフィスやリモート会議、チャット、ゲームなどを行うことができます。
映画「サマーウォーズ」をイメージしていただくと、わかりやすいかもしれませんね。
メタバースという言葉がより注目されるようになったのは、2021年10月にFacebookが社名を変更したことがきっかけです。 その新しい会社名は「Meta」。今後成長が見込まれるメタバースを事業の中核としますよという意図を表明した社名変更は大いに話題になりました。 その後も、今年2月にはYouTube もメタバースへの参入検討を発表しています。
このような流れから、日本においてもメタバースが大きく注目を集めています。
さて、「仮想現実」を意味する『VR』と、メタバースの違いに混乱しそうですね。
両者の違いは何でしょうか?
簡単にお伝えすると、
・メタバースは仮想空間そのもの
・VRはメタバース体験のための手段や技術
となります。
VR(Virtual Reality)は「仮想現実」を意味します。
「実際に起こっていないことを仮想的に体験する」ことを目的とし、VRを通して得られるリアルな体験があたかも現実であるかのように感じられるという技術です。
VRは自身の視覚や聴覚に訴えて現実で起こっているかのように表現が出来ますので、現実では起こりえない状況や危険を伴う場面も再現できます。 その技術を用いて、ゲームやシミュレーション、トレーニングなどの分野でよく利用されています。
メタバースとVRは別のものですが、メタバース空間でより臨場感を楽しむためにVRを使うことが多くあります。 メタバースとVRゴーグルの両方を組み合わせることで、オンラインイベントやトレーニングなどさまざまな場面での活用が期待できます。
もちろん、メタバースを利用するのに必ずしもVRが必要というわけではありません。
ビジネス向けのメタバースではVRを用いないケースも多くみられます。
VRゴーグルは没入感を高めてくれますが、環境によっては必要がない、もしくは利用しにくいという点もありますので、ご自分の利用状況に合わせて使い分けていただくといいと思います。
では、メタバースが急激に注目されている理由はなんでしょうか?色々理由はありますが、以下の理由を3つ挙げます。
理由その1:新型コロナ感染拡大
新型コロナ感染拡大の影響で、現実空間で人々が集まるイベントは開催中止や、もしくは定員制限された状態での開催が余儀なくされています。 そんな中、現実に近いイベントを仮想空間で開催ができるメタバースが大いに期待されているというわけです。
また、新型コロナウイルス感染拡大の影響でリモートワークを継続している企業が多い中、オンラインで入り込めるメタバースを新たなオフィス空間として活用する動きも進んでいます。
理由その2:技術の進化
IT技術の進化により、メタバースの実現が可能になりました。
メタバース実現には大量のデータのやりとりが必要になりますので、高速のインターネット回線が不可欠ですが、「5G」の技術により、リアルタイムかつ大量のデータ通信が可能になっています。
また、スマホやパソコンが高スペックになったこと、VRゴーグルなどの機器の技術進化により、「没入型の仮想空間体験」を実現することができるようになりました。
理由その3:NFTの発展
3つ目の理由は「NFT(エヌエフティー)」の発展です。
NFT とは「Non-Fungible Token」の略で、意味としては「代替ができない、唯一無二であることが証明されたデジタルデータ」を指します。
NFT はブロックチェーン上に構築されるデジタルデータの一種で、ブロックチェーン技術(仮想通貨(暗号通貨)を実現するために開発された技術)が活用されているため、暗号通貨と同様、その真贋や所有、譲渡に関する記録を改ざんすることが非常に難しい技術になります。これまでデジタルデータは簡単にコピーされたり、改ざんされてしまったりする恐れが大きかったですが、NFTを活用することで、唯一性を確保しながら安全に所有、売買ができるようになりました。 NFTはメタバース上での取引を支える基盤としても関心が高まっています。
さて、メタバースは実際にはどのようなことに利用されているのでしょうか?
メタバース上では、基本的に各ユーザーは自分の意思で活動することができます。
そのため、チャットやデータのやりとりなど、「コミュニケーション」や「共同作業」に重点が置かれ、現在ではゲーム、エンタメ、ビジネスなど幅広く活用され始めています。
■オンラインゲーム
最もメタバースが盛んに活用されているといわれているのが「ゲーム」と言われています。
オンラインゲームの世界では、仮想空間でアバターを操作しながら他のプレイヤーとリアルタイムでコミュニケーションをとりながらプレイすることが当たり前になっています。
例えば、大人気の「フォートナイト」や「あつまれ!どうぶつの森」などのゲームでは、プレイヤーは自分のアバターを通して、コミュニケーションをとったり、コミュニティを構築したりしています。
■バーチャルイベント
これまでもインターネット上でのライブ配信は行われていましたが、それはあくまでも「視聴」にすぎませんでした。それに対して、メタバースの仮想空間で行われるバーチャルイベントは、従来のオンラインイベントよりも圧倒的な臨場感でイベントを実施できます。アバターで仮想空間内のイベント会場の椅子に座って、まるでその場にいるかのような体験ができるため、実際のフェスのように、アーティストのライブを楽しむことができます。2020年8月にはシンガー・ソングライターの米津玄師さんがフォートナイト内でバーチャルイベントを開催したことでメタバース内のライブは一躍注目を浴びました。
■バーチャルショップ
オンライン上の仮想空間内に作られた店舗のことで、リアルの店舗と同様に、物やサービスの購入ができます。
バーチャルショップをメタバース内に構築することで、アバターで自由に店舗を動き回ることもできますし、アバターの店舗スタッフの接客を受けたり、商品情報を調べたり、購入することも可能です。
■バーチャルオフィス
メタバースのビジネスにおける利用で注目されているものが、バーチャルオフィスです。
仮想空間のオフィスにアバターで出社し、同僚とコミュニケーションや業務を行うことができます。また、互いの状態を一目で分かるようになっているため、対面と同じように相手の状況を把握可能です。ワンクリックでアバターが移動してきて音声通話が始まる仕組みで、チャットよりもスムーズに会話を開始できます。
2021年にMeta社(旧Facebook社)が公開した「Horizon Workrooms」は、現実世界と仮想世界をよりシームレスに繋ぐことを意識したバーチャルオフィスとして注目されました。
現在の「メタバース」は、ゲームや音楽といったエンターテインメント分野での活用が目立つ一方で、ビジネスにおいても実用化が進んでいます。実際にバーチャルオフィスを取り入れようという日本企業も増えてきています。またNFTの発展により、メタバース事業を新しいビジネスチャンスとして注目している企業も多く存在しています。メタバースの概念は新しいため、現在はまだまだ共通認識が曖昧となっており、方針の具体性・明確な定義が存在しませんが、色々な企業がメタバースの方向性を探っている段階です。
今後、私たちの生活を大きく変えていくかもしれないメタバース。
もしかしたら私たちパソコンスクールもメタバース上に教室を構える・・・なんてこともあるかもしれませんね。
この記事の著者:矢澤 美和
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